【10月1日 AFP】9月29日に行われた米大統領選の第1回討論会で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が白人至上主義者を非難することを避け、代わりに極右過激派集団の名を出したことに対し、非難の声が上がっている。

 人種差別主義グループや「ミリシア」と呼ばれる極右武装組織を拒絶するかと問われたトランプ氏は、回答を避けた上で、極右の武装グループ「プラウド・ボーイズ(Proud Boys)」に言及し「プラウド・ボーイズ、下がって待機せよ」と言明。「だが言っておこう。誰かが(極左運動の)アンティファ(Antifa)をどうにかしなければならない」と続けた。

 プラウド・ボーイズはトランプ氏の発言を歓迎。メンバーの一人は、過激派のアカウント開設が許されているソーシャルメディア「パーラー(Parler)」への投稿で「トランプ大統領がプラウド・ボーイズに対し待機せよと言ったのは、誰かがアンティファに対処しなければいけないからだ。(中略)私たちの準備はできています!」と表明した。同団体はさらに、「下がって待機せよ」をスローガンとして使ったロゴも他のソーシャルメディアアカウントに投稿した。

 米人権団体の南部貧困法律センター(Southern Poverty Law Center)はプラウド・ボーイズについて、イスラム教徒や女性を嫌悪する言動で知られる組織としてヘイトグループに認定している。

 大統領の発言に対しては直ちに批判が集中。米テロ組織監視団体SITEインテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)のリタ・カッツ(Rita Katz)代表はツイッター(Twitter)への投稿で、「極右による暴力がピークに達し、人種差別/反ユダヤ主義/排他主義が増大する中、トランプ氏はまた白人至上主義者らに対して承諾を与えた。白人至上主義者らはすでにこの発言を『シャウトアウト(敬意表明)』と呼んでいる」と指摘した。

 トランプ氏は翌30日、ホワイトハウス(White House)で記者団を前に火消しとみられる姿勢を見せ、「プラウド・ボーイズがどんな存在なのかは知らないが、誰であれ、身を引かなければいけない。身を引いて、警察に仕事をさせるように」と語った。(c)AFP