■郵便投票も実現せず

 右派与党PiSは、新型コロナウイルスの感染状況は自然災害と宣言する必要があるほど深刻ではなく、さらに、もし自然災害と宣言すれば、ポーランド国内で活動している多国籍企業が多額の補償を要求し、政府が支払いに追われる可能性があると示唆していた。

 リベラル派の野党はロックダウン(都市封鎖)実施中に自由、公正、安全な選挙は不可能だとして大統領選の延期を要求してきた。

 野党は、世論調査で国民の4人のうち3人が大統領選の延期を求めていたにもかかわらず政府が5月10日の投票実施を決めたのは、早期の選挙が現職アンジェイ・ドゥダ(Andrzej Duda)大統領に有利になるとPiSが考えたからだと主張している。

 PiSが多数を占める下院は3月、感染への懸念を払拭(ふっしょく)して5月10日に投票を行うため、「60歳以上または投票日当日に強制隔離下または自宅などでの隔離対象となっている」有権者に、郵便投票を認める選挙法改正案を可決した。

 しかし野党が多数を占める上院はこれを否決。政府は選挙の準備期間を設けることができなくなった。

 PiSなど連立与党は先週、「投票は実施されないとみられることから、2020年5月10日以降、最高裁が選挙を無効化し、議会議長が最も早く選挙実施が可能な期日を公表する」とする声明を発表していた。(c)AFP/Anna Maria Jakubek