【3月29日 AFP】ポーランド下院は28日、年齢が60歳以上、または投票日当日に強制隔離下もしくは自主隔離中の有権者に郵便投票を認める法案を可決した。同国では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)にもかかわらず大統領選を実施しようとしているとして、政府への批判が強まっている。

 右派与党「法と正義(PiS)」政権は大統領選を予定通り5月10日に実施すると決めたが、先週の世論調査で延期を希望する人が72%にも上ったことから、強い圧力を受けている。

 PiSが多数を占める下院は同日未明、選挙法の改正案を可決。PiSが支持する改正案では、「60歳以上」または「投票当日に強制隔離下または自宅などでの隔離対象となっている」有権者に郵便投票が認められる。

 野党側は、投票所へ行くよう有権者に求めるのは他人と一定の距離を保つ「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」に反し、数百万人規模の人を感染の危険にさらすと主張している。

 2期目を狙うPiSの現職アンジェイ・ドゥダ(Andrzej Duda)大統領は28日、5月半ばになっても新型コロナウイルスが「猛威を振るっている」場合、現在予定されている大統領選の日程を「維持できない可能性もある」と認めた。

 法案は、野党が多数を占める上院で30日以内に否決される可能性があるが、下院が再可決すれば最終承認のためドゥダ大統領に送られる。憲法専門家らは、選挙法の改正は投票日の6か月前までに議会で承認されなければならないとした憲法裁判所の判断に反すると批判している。(c)AFP