【4月19日 AFP】米国反ドーピング機関(USADA)が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって生じた異例の状況への対策として、新しい遠隔抜き打ち検査のプログラムを考案した。

 感染の急拡大を抑える策として、他国と同様に米国もロックダウン(都市封鎖)を実施する中、USADAは選手自身が血液や尿のサンプルを採取し、検査官がそれをビデオ会議アプリのズーム(Zoom)や通話アプリのフェイスタイム(FaceTime)でチェックする方式を発表した。

 選手は検査官から予告なしの電話がかかってきたタイミングで、送られてきた検査キットを使ってサンプルを採取する。血液は検査官が見ている前で採るが、尿は一人で採っても構わない。そしてサンプルは検査官の見ている前で封をして、認可済みの研究所へ送って検査を行うという。

 USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に対して、競泳のケイティ・レデッキー(Katie Ledecky)や陸上のノア・ライルズ(Noah Lyles)、アリソン・フェリックス(Allyson Felix)ら、五輪の有力候補の多くが試験運用に積極的に参加したことを明かしている。

「このやり方についてはずっと話し合いを続けていて、数か月かけて土台づくりを行ってきた」「新型ウイルスによってそのペースが速まり、こうして開始することができた」

 前週、カリフォルニア州の自宅で初のセルフ採取を行ったレデッキーは、「とても快適だった」と感想を口にしている。

 違反の防止策も講じている。尿サンプルは検査官の見ている前で採取しなくてもいいが、使用したトイレは見せる必要があり、サンプルの操作やすり替えの可能性を減らすため、採取した時間とサンプルの温度を記録しなければならない。(c)AFP