【4月7日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)のウィトルド・バンカ(Witold Banka)会長は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による世界的混乱を不正に利用できると考えているなら、そのアスリートは墓穴を掘ると警告した。ドーピング検査については、カナダとロシアが一時停止すると公表している一方で、英国反ドーピング機関(UKAD)は回数を著しく減らしている。

 ポーランドの元スポーツ相で、クレイグ・リーディー(Craig Reedie)前会長の後任として1月1日からWADAのトップに就任したばかりのバンカ会長は、身体検査に関しては実質的に凍結状態と言えるかもしれないとしながらも、WADAと各国の反ドーピング機関は禁止薬物との闘いに投入できる武器を保持していると訴えた。

 35歳のバンカ会長は、ポーランドの自宅でAFPの電話取材に応じ、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、アスリートが不正を行うための抜け穴ではない」とすると、「彼らは、これが不正を行える時間と考えるべきではない。さもなければ、反ドーピング機関は違反者を捕らえるためにその武器を使うことになるだろう」と強調。流行が収束した際には、すぐに検査体制が「完全」復活することを期待していると語った。

 その一方で、WADAはアスリートを監視するために検査以外の方法を頼りにすることになるといい、「検査だけがわれわれの武器ではない。いくつか強力な手段がある」「アスリートの生体パスポート、長期にわたる検体の分析、情報などだ」「それに、選手たちは居場所を申告する義務がある。たとえ、われわれが足を運んで検査できない状況でもだ」と話した。

 しかしながら、バンカ会長は世界情勢にも気を配っており、新型コロナウイルスとの闘いが最優先事項であるとの姿勢を示している。「反ドーピング活動は、人々の命より重要なものではない」 (c)AFP/Pirate IRWIN