【4月18日 AFP】 フィリピンにある過密状態の拘置所で、看守と収監者18人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示していたことが分かった。当局が17日、明らかにした。同国の刑事施設における急速な感染拡大への恐れが改めて浮き彫りになった形だ。

 別の収容者ら30人も感染症の症状を示しているというマニラ首都圏のケソン市拘置所(Quezon City Jail)は、収容者らが交代で階段や屋外のバスケットボール場で寝るほどの過密状態に陥っている。

 新型コロナウイルスの感染が拘置所内で発生したことを受け、人権団体は、過密状態の緩和と感染リスクを下げるため、非暴力的な犯罪による収容者、また病人や高齢の収容者らの早期釈放要求の声を強めている。

 フィリピンでは感染者数が徐々に増加しており、17日時点で5878人の感染が確認され、387人が死亡した。

 定員の5倍の収容人数になることもあるこの拘置所の体制では、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を取ることはほとんど不可能。

 当局は報道陣に対し、収容者9人と職員9人が陽性反応を示したと説明。収容者は隔離され、職員は自宅での隔離が命じられたという。

 人権派弁護士団体の代表で、同国のロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領に対して批判的なホセ・マヌエル・ディオクノ(Jose Manuel Diokno)氏はAFPに対し、「わが国の刑事施設で起きている深刻な過密状態に対処するため、収容者の釈放といった措置を取ることは文字通り、生死に関わる問題だ」と指摘。 措置を取らなければ、ウイルスが「暴れまわる」ことになると述べた。(c)AFP