過密状態の動物保護施設、新型コロナで寄付金減 窮状訴える タイ
このニュースをシェア
【4月11日 AFP】タイにある動物保護施設が新型コロナウイルスの影響で、餌代を賄う寄付金が減っていると訴えている。ただこの施設は里親制度を信用せず物議を醸しており、施設内ではおりの中に収容された犬数百頭が過密状態の中、寝たり、けんかをしたり、餌を待ったりして日々を過ごしている。
2013年に設立された動物用保護施設「Aunt Ju's Shelter for Stray Dogs(ジュおばさんの野良犬シェルター)」ではこれまで、世話している2000頭以上の犬と300匹もの猫の餌代を寄付金に頼ってきた。
しかしここ数か月、寄付金は大幅に減少。施設側は動物愛好家たちに訴えようと、過密状態になった施設にいる犬たちの写真をフェイスブック(Facebook)に投稿した。
首都バンコクの中心部から約50キロ離れたパトゥムタニ(Pathumthani)県にある施設の一つを最近訪れた世話係はAFPに対し、「人々が寄付しなくなっているのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のせいかもしれない」と説明した。
さびたフェンスに囲まれ、湿気の多い部屋に押し込まれた数百匹もの犬は、従業員がコンクリートの床をホースを使って掃除しようとする中、じゃれ合ったり、縄張り争いを繰り広げたりしている。
中には深手を負い、小さなおりに閉じ込められ、飼育員からガーゼを使った治療を受ける犬たちもいる。
世話係によると、犬たちは毎日、60袋以上の餌をたいらげ、餌代には1日当たり2万〜3万バーツ(約6万6000〜10万円)が必要。だが現状の寄付金では週に30袋分しか賄えないという。
この世話係は、里親に出すのを拒否する施設の方針を擁護。「(飼い主が)私たちと同じくらい動物たちを愛してくれるという確信が持てない」と主張。だが、餌が尽きてしまった場合のプランについては、詳しい説明を拒否した。
一方でプーケット(Phuket)の非営利団体「ソイ・ドッグ基金(Soi Dog Foundation)」は、この保護施設の状況について「ばかげているくらい混みすぎだ」と指摘し、これほど多数の犬たちが屋内の一室に閉じ込められたら、どうやって衛生的であり得るのかと疑問を呈した。
同基金のサム・マッケロイ(Sam McElroy)氏は、「里親プログラムを信頼しないのなら、それは単なる抱え込みになる」と述べた。
ただ、昨年900頭以上の動物たちの里親を見つけたという同基金自体も、新型ウイルスの拡大を抑えるために取られた県内全域でのロックダウン(都市封鎖)により、「未知の領域」にあると話している。(c)AFP