【4月15日 東方新報】新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、2か月半にわたるロックダウン(都市封鎖)が解除された中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)。自宅を出られるようになった武漢市民は、地元の名物の汁なし麺「熱乾麺(Reganmian)」を味わっている。市民らはソウルフードをほおばり、日常を取り戻したことを実感している。

 熱乾麺は、日本での知名度は低いが、中国では北京のジャージャー麺、四川省(Sichuan)の担々麺(タンタンメン)、山西省(Shanxi)の刀削麺(ダオシャオメン)などと並ぶ「五大麺」の一つ。

 熱湯で乾麺をサッとゆでてゴマみそをかけ、ザーサイやネギをのせた熱乾麺は、茶わんほどの紙の容器に盛ることで、簡単に持ち歩ける。街のあちこちで夜明けとともに店を開く小さな飲食店には、必ずメニューにある。値段は10元(約153円)程度とお手ごろ。油であえた麺は腹持ちが良く、それぞれの店が自家製のゴマみそにトウガラシや砂糖、米などさまざまな調味料を加えており、「毎日食べても飽きない」といわれるゆえんだ。

 武漢市では1月23日から都市封鎖が行われ、市民は感染拡大防止のため家を出ることすらままならなくなった。1月下旬、中国の人気イラストレーターの陳小桃momoさんが微博(ウェイボー、Weibo)で、あるイラストを公表した。擬人化された「熱乾麺ちゃん」がマスクをして病院のベッドに横たわっているのを、中国全土から集まったグルメキャラがガラス越しに「熱乾麺加油(がんばれ)」と激励している。温かみのあるかわいらしい絵柄で武漢市民への連帯を示し、全国で評判を呼んだ。

 3月に入り、猛威を振るった感染症がようやく抑制されてくると、陳小桃momoさんは再びイラストを発表。ベッドから起きた熱乾麺ちゃんが窓から手を振り、グルメキャラたちが「湖北重啓(湖北が立ち上がった)」と喜びの声を上げている。

 4月8日に都市封鎖が解除され、武漢市内では老舗店「蔡林記(Cailinji)」をはじめ多くの熱乾麺の店が営業を再開した。まだテークアウトやデリバリーが中心のようだが、市民たちはできたての熱乾麺をほおばり、取り戻した日常をかみしめている。(c)東方新報/AFPBB News