【4月8日 東方新報】「白衣の英雄の凱旋(がいせん)を無料サービスで迎えよう!」。新型コロナウイルスの感染がピークを越えた中国で、最も感染が深刻だった湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)などから帰ってきた医師や看護師らに、食事や映画などを無料サービスする動きが各地で起きている。

 四川省(Sichuan)の火鍋協会は3月27日、協会に加盟する120企業の348店舗が12月31日まで、新型コロナウイルスの感染防止に奮闘した医療スタッフ約1800人に食事や飲み物をすべて無料で提供するキャンペーンを始めた。同伴の家族や友人も2割引にするサービスぶりだ。火鍋協会の厳竜(Yan Long)執行会長は「湖北省から四川省に戻り、ホテルで静養している医療隊員に、協会がつくった『英雄カード』を渡しました」と報告。四川に戻った第1次医療隊員の隔離期間が27日に終わるため、この日からキャンペーンを始めると説明した。

 四川省では、9割の火鍋店が営業を再開した。火鍋店「簽王之王」を経営する唐華(Tang Hua)さんは「新型ウイルスの影響で業界も厳冬を迎えたが、医療従事者が命懸けで闘ってくれたおかげで春を迎えることができる」と感謝した。

 中国の大手家電小売企業「蘇寧(Suning)」は、全国14省で経営する映画館35か所で、治療に携わった医療スタッフが無料で映画を見られるようVIPカードを配布。また、世界遺産(World Heritage)の「万里の長城(Great Wall)」をはじめ各地の観光地でも無料サービスを始めている。医療スタッフは湖北省などで治療に従事した証明書を見せるだけでよく、「5年間無料」というサービスまである。

 新型ウイルスの治療や感染防止の第一線に携わった医療従事者の中には、命を落とした人も少なくない。自らの命を懸けて国民の命を守ってきた「戦士」たちの凱旋を、各地の市民が総出で迎えている。(c)東方新報/AFPBB News