【2月13日 AFP】英オックスフォード大学出版局(Oxford University PressOUP)は12日、オックスフォード英語辞典(Oxford English DictionaryOED)の最新版で単語「イード(yid)」の定義を更新し、そこに「トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)のファン、または選手」と加えた。

「イード」はしばしばユダヤ人に対する差別語として用いられるが、スパーズ(Spurs、トッテナムの愛称)のサポーターの一部はスタンドでの応援歌でこの言葉を用いている。

 ロンドン北部に本拠地を構えるトッテナムは、伝統的にこの地域のユダヤ系のファンが多く、このことでライバルチームのファンから反ユダヤ主義的なののしりを受けてきた。

 英国で最も権威のある辞書とみなされているOEDは、1月に改訂して多くの新語を加えており、「イード」に近い単語として「Yiddo」も追加している。発行元のOUPは、「イード」は「攻撃的で侮蔑的」な単語に分類しているという。

「YIDに密接に関連するので記載している。トッテナム・ホットスパーは伝統的にロンドン北部と東部のユダヤ人コミュニティーと結びつきが強く、特定のトッテナムファンは自らの呼称としてこの語を用いる時もある」

 ユダヤ人の言語であるイディッシュ語に由来するこの単語は、20世紀には侮辱的な言葉として認識されてきた。トッテナムの試合のホーム側スタンドでは「Yids」、「Yid Army」、「yiddos」といった言葉が飛び交っており、これらの言葉を「再生させた」としてその使用を正当化するスパーズファンも存在する。

 しかし、ユダヤ人グループに加えてトッテナムの多くのファンは、サッカーファンはどんな理由があっても侮辱的な言葉を慎むべきだと主張している。

 トッテナムの広報は、「われわれは公式チャンネルやショップでクラブとして『Yワード』の使用を認めたことは一度もない。そして(ユダヤ系、非ユダヤ系を含む)ファンは決して攻撃的な意図を持ってその言葉を用いない」と発表している。「オックスフォード英語辞典のその単語の定義は、文脈を区別できず誤解を招くものである。彼らが明確化するのは歓迎だ」(c)AFP