【12月20日 AFP】サッカーイタリア・セリエAが反人種差別キャンペーンのイメージポスターに猿のアートを使用した問題で、この絵を描いたアーティストが作品が誤解されたとしたものの、不快感を示した人に対する謝罪を述べた。

 イタリア人アーティストのシモーネ・フガソット(Simone Fugazzotto)氏は日刊紙レプブリカ(La Repubblica)に対し、西洋人、アジア人、黒人を猿で描くという考えは、イタリアの一部のファンから黒人選手に向けられる蔑称に対する「防衛手段」になることを目的としていたと語った。

 セリエAが16日に開始した今回のキャンペーンは、少しだけ色の違う3匹の猿の顔のアップが描かれたポスターを使用していたため、すぐさま批判を浴びた。

 フガソット氏は「一人のアーティストとして、私はいかなる行動も強要されないが、もちろんリーグ側と同様に、不快に感じた人には謝罪する」と述べ、自身の芸術家人生を通じて猿をモチーフにした絵を描き続けてきたと補足した。

 サッカーファンでもあるフガソット氏はまた、自身もスタジアムで観客が黒人選手にモンキーチャント(猿の鳴きまね)を浴びせ、バナナを投げているのを目にしたと話した。

 蔑称としての猿の概念を払拭(ふっしょく)しようとしたフガソット氏は、「すべての人を猿にしようと決めた。それで西洋人風の猿、アジア人風の猿、アフリカ人風の猿を描いた」と説明した。

 フガソット氏は当初、この絵に「われわれ全員が猿」という文字を添えたかったのだという。

 同氏は常に猿をモチーフにさまざまなスタイルの絵を描いており、人間の服を着せるなどして文化や歴史的背景の違いを表現している。(c)AFP