【10月9日 AFP】ブラジル北東部の130か所を超える海岸に大量の原油が漂着している。ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は国外から流れ着いたもので、犯罪絡みで海洋投棄された可能性もあるとの見方を示しているが、8日時点でも発生源は明らかになっていない。

 原油は9月上旬から漂着し始め、その範囲は大西洋沿岸の2000キロにわたっている。美しいビーチで知られ、経済を観光業に依存する貧しい北東部9州すべてで確認されている。しかしブラジル政府は先週になってようやく対応を開始した。

 ボルソナロ氏は首都ブラジリアでリカルド・サレス(Ricardo Salles)環境相と共に記者会見し、「流出は絶えず続いているわけではない。難破した原油タンカーに由来するものならば、流出は当面続くだろう」「(原油は)犯罪がらみだと思われる。この原油は海洋投棄されたものである可能性がある」と述べた。

 サレス環境相は、政府の優先事項は漂着した原油の迅速な除去と発生源の特定だと述べた。サレス氏は7日、漂着現場を訪問し、これまでに北東部の海岸から100トンを超える原油が除去されたと語っていた。

 国営石油会社ペトロブラス(Petrobras)も除去作業に参加。分析の結果、漂着した原油は同社が生産したものでも販売したものでもないことが分かったと発表した。

 有力紙フォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)は機密報告書を引用し、ペトロブラスによる分析の結果、原油が隣国ベネズエラ産である可能性が浮上したと報じた。しかしボルソナロ大統領はベネズエラを名指しで批判してはいない。

 今回の原油流出についてウミガメ保護団体「タマル(TAMAR)は、同団体が創設された1980年以降で「最悪の環境上の惨事」だとしている。(c)AFP/Louis GENOT