【5月11日 AFP】米農薬大手モンサント(Monsanto)が多数の個人や報道機関の情報を違法に収集していた疑惑が生じ、フランス当局は予備捜査を開始した。

 パリの検察当局は、仏日刊紙ルモンド(Le Monde)と同紙の記者1人の申し立てを受け、パリの司法警察が捜査を実施すると発表した。この記者はモンサントが収集したリストに含まれている。

 農薬反対を掲げている消費者団体フードウォッチ(Foodwatch)とジェネラシオン・フュチュール(Generations Futures、未来世代を守る運動)もこのリストについて提訴の準備を進めている。

 予備捜査では「詐欺的、不当、もしくは違法な方法で入手された個人情報の収集」が行われた可能性について調べるという。

 モンサントは米PR会社フライシュマン・ヒラード(Fleishman Hillard)に対し、除草剤に含まれる化学物質で安全性が疑問視されているグリホサートや遺伝子組み換え作物について、特定の人物や報道機関の見解をまとめた資料の作成を依頼したとみられている。リストには、対象者が自らの意見について他者の影響を受けやすいかどうかといった情報も含まれていた。

 リストには、政治家、科学者、記者らの名前が挙がっており、AFPの記者4人も含まれていた。国営放送フランス2(France 2)によると、農薬やモンサントに対する見解の他、余暇の過ごし方や住所、電話番号についても記載されている。「優先ターゲット」や「採用すべき潜在的な協力者」などのカテゴリーに分類されている人物もいたとの報道もある。

 フライシュマン・ヒラードの広報担当者はAFPに対し、同社は法律を順守し最高基準の倫理規定にのっとっているとした上で、「公開されている情報を含む利害関係者のリストに関して報道機関から上がっている疑問については慎重に調査する」と述べた。(c)AFP/Julie CHABANAS