【3月31日 AFP】ロシアの裁判所は先週、シベリア(Siberia)地方南部にあるバイカル湖(Lake Baikal)での、中国の出資によるミネラルウオーター工場の建設プロジェクトについて、当局からの建設許可は違法との判断を下した。

 問題の工場は、バイカル湖の水をボトル詰めする目的で現在建設が進められているもの。だが、中国によるシベリアでの「土地収奪」との懸念が住民などの間で高まって物議を醸し、批判を受けていた。

 国営タス(TASS)通信は、シベリアの都市イルクーツク(Irkutsk)の地裁が27日、当局による工場の建設許可は「違法」だったとの判断を示したと伝えた。

 工場建設をめぐっては、2016年にロシアの環境監視機関が環境への影響を否定的に評価する報告書でまとめているが、検察側は希少な渡り鳥の餌場となっている湿地への影響が考慮されていないと異議を唱えていた。裁判所の判事は今回、工場の建設許可はこの報告書の評価を根拠を基にしたもので、報告書についても「法に違反するもの」だったと判断した。

 27日の判決に先立ち、署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」では、工場に反対するオンライン嘆願に100万を超える署名が集まっていた。

 嘆願では、ミネラルウオーターは中国への輸出向けであり、工場によって、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されているバイカル湖への地元住民の往来が妨げられる上、湖に「回復不能なダメージが負わされる」と訴えている。

 これに対し、中国企業「貝加爾湖(バイカル湖)」の資金援助を受けて工場建設を進めるロシア企業「AkvaSib」はタス通信に対し、工場建設は合法だと主張し、控訴する意向を明らかにした。

 当初は工場建設を支持していたイルクーツク州のセルゲイ・レフチェンコ(Sergei Levchenko)州知事は3月に入ってから、建設予定地は「環境保護の対象地」であって、「これを乗り越えることはできないと思う。その場所で操業する可能性はないと思える」と述べていた。(c)AFP