料理の決め手は政治、コソボ独立を認めないセルビアのレストラン
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■点取りゲーム
セルビア政府はコソボの取り分をつぶそうと頑張っている。承認を撤回する国が現れると、外相はそれを大々的に宣伝する。承認を撤回しているのが、コモロやスリナム、パラオのように地図で探すのが難しいほど小さな国が大部分であっても気にしない。
コソボ政府は、116か国から独立を承認されていると主張している。コソボの外相顧問を務めるイェトリル・ジベライ(Jetlir Zyberaj)氏はAFPに、これより少ない数字は「セルビアのプロパガンダにすぎない」と主張した。
AFPは各国にコメントを求めたが、撤回を認めた国から、撤回はしていないと異議を唱えた国、何も返事がなかった国と反応はさまざまだった。
昨年6月にはセルビアが怒りで顔を赤くするような出来事が起こった。セルビアはアフリカのリベリアがコソボ承認を撤回したと発表したが、その後、リベリア側がその情報を訂正する発表を行ったのだ。
セルビアは、小国との協力強化を掲げている。AFPがアフリカ南部レソトの外務省に、コソボ承認撤回の見返りにセルビアから何を受け取ったのかと問い合わせると、「通常の2国間協力以外には何もない」との返答があった。
セルビアの政治評論家、ボバン・ストヤノビチ(Boban Stojanovic)氏は、コソボ承認をめぐるセルビア政府のゲームは、コソボ問題について「政府が何かしているということを国民にアピールするため」のものだと指摘する。「外交的には、これらの国々はあまりコソボ独立という状況に影響力をもたない」と付け加えた。
クルシッチさんのレストランではこれまでに、コソボ承認を撤回した国の料理、70種類以上を提供してきた。父親から店を継いだクシッチさんは、愛国心からこのようなメニューを思い付いたと言い、「もしも米国がコソボ承認を撤回したら、ドリンクを3日間、無料にするつもりだ」とほほ笑む。
「世界中のすべての国がコソボを承認しても、私たちは承認すべきではない。コソボはわれわれのものだ」とクルシッチさんは語った。(c)AFP/Sally MAIRS