■食糧システムが崩壊する前に

 今回の報告書では、牛肉、豚肉、鶏肉に加えて、マメなどの果実や野菜、豆腐などの非動物性の代替加工食品、昆虫など13種類のタンパク源を分析した。

 分析の結果、食用肉を代替タンパク質に切り替えることで、栄養素の摂取量にはプラスとマイナスの両方の影響が及ぶ可能性があるが、全体的に見ると、その摂取量を増やすことによって健康増進がもたらされることが分った。

 マメ、マイコプロテイン(菌類由来のタンパク質)、エンドウなどは最大の健康増進効果をもたらし、死亡率を最大で7%低下させる可能性があることが、報告書の分析で明らかになった。

 報告書はまた、牛肉生産だけで食品に関連する温室効果ガス全排出量の4分の1を占めることを示す2010年のデータにも触れ、代替タンパク質が見つからなければ、タンパク質の需要急増によって自然環境に非常に大きな圧力がかかる恐れがあることを主張した。

 畜産業は地球の大気に三つの脅威を及ぼす。一つ目の脅威は動物が温室効果ガスのメタンを大量に生成することで、二つ目は炭酸ガスを吸収する森林が牧草地を切り開くために伐採・消失すること。三つ目は、家畜を養うために膨大な量の水が必要になることだ。

 世界自然保護基金(WWF)のマルコ・ランベルティーニ(Marco Lambertini)事務局長は、WEFの声明の中で「地球と人類の未来のために人間の食糧システムの変革を行う必要があることの証拠は明白」としながら、「われわれは、食糧システムが崩壊する前にこの問題に対して何らかの対策を講じることができる最後の世代だ」と述べた。(c)AFP