【12月19日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は18日、米国と旧ソ連間で冷戦(Cold War)期に締結された中距離核戦力(INF)全廃条約を米国が破棄するなら、ロシアは地上発射型の中距離ミサイルを開発する計画があると述べた。

 米政府は今月4日、ロシアは条約違反のミサイルを配備しているとして、ロシアが60日以内にこれらのミサイルを廃棄しなければ米国は同条約から離脱すると表明。INFをめぐる緊張が高まった。

 INF全廃条約は1987年に当時のロナルド・レーガン(Ronald Reagan)米大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領が調印したもので、射程500~5500キロの地上発射型弾道ミサイルを禁止している。海や空から発射するミサイルは対象としていない。

 プーチン氏はロシア国防省の会合で、米国がINFを破棄すれば、ロシアは水上艦や潜水艦から発射する巡航ミサイル「カリブル(Kalibr)」や、ステルス巡航ミサイル「Kh-101」、戦闘機搭載側の最新鋭極超音速ミサイル「キンジャル(Kinzhal)」の地上発射型を開発するだろうと述べ、「必要とあれば適切な研究開発を行ってこれらのミサイルを地上配備するのはさほど難しくないだろう」との見方を示した。

 また今年の年次教書演説で初めて次世代核兵器の一つとして大々的に発表したキンジャルについて再度言及し、「この種の兵器を持っている国はまだ他にない」とその先進性を誇示した。

 プーチン氏は米ロ以外の国のINF全廃条約への参加や、新条約について協議を始めることを受け入れる姿勢も示した。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO