【6月17日 AFP】魅力的で大きな力を持ち、大統領となる父親にも良い影響を与えるだろうと、支持層でないリベラル派ですら期待していた「ファースト・ドーター」のイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)氏――。しかし彼女は今、ホワイトハウスに不和を生み、その評判にも陰りが出ている。

 イヴァンカ大統領補佐官は、トランプ一族に落胆した米国民、特にトランプ政権のジェットコースターのような運営に落胆した民主党支持者らへの避雷針の役目を負い、かつては、トランプ氏の良心を引き出せる存在との期待も寄せられていた。

 夫のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)大統領上級顧問とともにホワイトハウスで働き、非の打ち所がないワーキングマザーとして活動するイヴァンカ氏は、幼児保育から気候変動までさまざまな議題について、父親に働きかけていくとしていた。

 しかし今や、彼女はトランプ大統領の「共犯」の烙印を押されている。トランプ大統領は男女の賃金格差を埋める法律を撤廃し、イヴァンカ氏は父親の女性蔑視発言に対し強く反論することもしなかった。また大統領選中に、候補者であるトランプ氏が女性の権利についていつも考えていると説いて回ったことが、フェミニズムの乱用にあたるとして批判された。

 これまでイヴァンカ氏は世界各国の指導者らと非公開の会談に臨んできた。韓国大統領との夕食会で北朝鮮の核問題をめぐる議論に参加したほか、主要20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)でトランプ大統領の代理として短時間大統領の席に座ったことさえある。しかし米国の人々からは、外交経験不十分な人物がコネだけで重大な任務を与えられているとの厳しい声が上がった。

 3月には、物議をかもした在イスラエル米大使館のエルサレムへの移転セレモニーに参加。同日にガザ地区との境界付近で、イスラエル軍によるパレスチナ人抗議者らへの発砲で数十人が死亡する事態となるなか、満面の笑みで開設を祝うスピーチを行うさまは激しく批判された。

 さらに5月には、米国に不法入国する人々から子どもを引き離すことを国境警備官に認める「ゼロ・トレランス(容赦なし)」政策が発表された後に、息子を抱く写真をツイッターに投稿し、無神経だとのコメントが殺到している。