■「みんなイヴァンカが大好きだ」

 トランプ大統領自身も、見目良くチャーミングなイヴァンカ氏が自身のイメージを和らげるのに役立つと認識している。実際、選挙戦中から彼女はその役割を果たしてきた。

 去年の9月にも、トランプ氏は「みんなイヴァンカが大好きだ」と発言している。「みんなこう言う。『あの人(トランプ大統領)はそんなに悪いやつじゃないだろう。だってイヴァンカを見てみろ』とね」

 この「ファースト・ドーター」が持つ権力について専門家らは、これまでに見たことないほど大きいと指摘する。

 大統領一家に詳しい米アイオワ州立大学(Iowa State University)のステーシー・コーデリー(Stacy Cordery)歴史学教授はAFPの取材に対し、「イヴァンカ氏に対する批判の集中は、自らをトランプ政権の良心と位置づけたために起きた」と語る。

 教授によると、大統領の子どもたちが目立たない方が、米国民は落ち着くのだという。

 しかし、イヴァンカ大統領補佐官に関しては、「過去にないレベルで非常に目立つ存在で、それでいながらその役割が不明瞭」となっており、「これまでの米国の歴史と伝統に反している」と指摘した。

 イヴァンカ氏はこれまで、自らのポジション──共和党支持か、民主党支持か──について明言を避けてきた。しかし、大統領補佐官というポジションに関しては、当初から疑問視する声が挙がっていた。

 批判的な意見としては、イヴァンカ氏が公の場において大統領に反対の意思を表明する機会が少ないとの指摘が出ている。例えば、男女同一労働/同一賃金を強く訴え、「父とこの問題に取り組んでいく」との意思表明をしていたものの、大統領となった父親にこれを進言することはなかった。