【4月17日 AFP】フィリピン外務省は16日、サウジアラビアで家政婦として働いていたフィリピン人女性が、雇用主にむりやり家庭用漂白剤を飲まされ、病院で手当てを受けていることを明らかにした。

 同省の声明によると、家政婦のアグネス・マンシーラ(Agnes Mancilla)さんは今月2日、意識のない状態で南部ジザン(Jizan)の病院に救急搬送され、手術を受けた。同省は「ジザン当局と緊密に協力しながら、マンシーラさんにとって正当な解決策が見つかるよう働き掛けている」と発表した。

 入院しているマンシーラさんの状態は「深刻だが安定」しているという。サウジ警察は雇用主の女を逮捕した。女の氏名は明らかにされていない。

 マンシーラさんは2016年からサウジアラビアで働いていたが、「女雇用主から繰り返し虐待されていた」という。声明はサウジ西部ジッダ(Jeddah)のフィリピン領事、エドガー・バダホス(Edgar Badajos)氏の発言として、「雇用主は給料の支払いも怠っていた」ことも明らかにした。

 今回の事件はフィリピンの出稼ぎ労働者が中東の雇用先で虐待被害を受けたとされる最新の事例。今年2月にはクウェートで、メイドとして働いていたフィリピン人女性が冷凍庫で遺体となって見つかり、2国間の外交関係に摩擦が生じた。

 激怒したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は、アラブ人らは雇ったフィリピン人女性らを日常的にレイプし、毎日21時間働かせ、残飯を食べさせていると非難し、自国民に就労を目的としたクウェートへの渡航を禁じた。現在200万人以上のフィリピン人が中東で就労している。(c)AFP