【12月3日 AFP】イエメンのイスラム教シーア派武装勢力「フーシ派(Huthi)」と同盟関係にある同国のアリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)前大統領は2日、サウジアラビア主導の連合軍と和平協議を行う用意があると表明した。連合軍はイランの支援を受けるフーシ派と戦闘を続けており、前大統領と同派の同盟関係崩壊を示す発言とみられる。

 サレハ前大統領はテレビ演説で「隣国の兄弟たち」に対し、「攻撃を停止し、国境封鎖を解くよう呼び掛ける」と表明。「停戦が実施され、国境封鎖が解けた後、われわれの議会を代表する正当な権威者を通じて直接協議を行うことを誓う」と述べた。

 フーシ派指導者のアブドゥルマリク・フーシ(Abdulmalik al-Huthi)氏は、サレハ前大統領の「重大な裏切り」で、前大統領とサウジ連合軍が「一つの戦線」になったと非難した。

 フーシ派政治部門も、サレハ氏は「元々信じていなかった同盟」に対して「クーデター」を起こしたと非難。サウジアラビアと同盟国に対し「自国の主要都市で重い代償を払うことになるだろう」と警告した。

 一方、連合軍側はサレハ氏による和平交渉への申し出を歓迎した。

 また、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abd-Rabbo Mansur Hadi)暫定大統領率いるイエメン政権は声明で「イエメンのアラブのアイデンティティー」を維持する決意を示し、「残虐な集団」を排除するため働くすべての国民と協力すると表明した。サレハ氏がフーシ派から距離を置くことを歓迎したとみられる。

 同政権は、フーシ派がイエメン国内でイランの利益を後押ししていると非難している。(c)AFP