【8月8日 AFP】盲導犬になるための自制心を持ち合わせている犬はごく一部で、その中でも子犬の頃に母犬の厳しい「愛のむち」を受けて育った犬が最も優れた盲導犬になるとの研究結果が7日、発表された。

 米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された研究論文によると、生後最初の5週間に母犬が子犬たちを甘やかせ過ぎず、自ら学べるように育てると、子犬は成長して他の犬より優れた盲導犬になるという。

 母犬が子犬を溺愛すると、子犬は臆病に育って新たな状況を恐れがちになり、目の不自由な人々を支援するための厳しい訓練プログラムについていけなくなる傾向がみられた。

 今回の研究は、米ニュージャージー(New Jersey)州にある盲導犬の繁殖・訓練施設「ザ・シーイング・アイ(The Seeing Eye)」で実施された。

 米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)の研究チームは同施設にほぼ常駐して、母犬23匹とその子犬98匹の動画を子犬の生後最初の5週間にわたって撮影し、綿密に観察した。

 論文の主執筆者のエミリー・ブレイ(Emily Bray)氏は、子犬との接し方に基づいてそれぞれの母犬の間の違いを明らかにできるか知りたいと考えたと話した。「母犬の授乳姿勢や、母犬が子犬から目をそらしていた時間の長さ、母犬が子犬にぴったり寄り添っていたり、子犬の体をなめて毛繕いをしたりするのにどのくらいの時間をかけたかなどを観察・記録しました」

 2年後、犬たちのその後を調査するために再び施設を訪れた研究チームは、母犬に溺愛された度合いが強い子犬ほど、訓練プログラムを卒業して盲導犬になる可能性が低いことを見いだした。