■成功のカギは「母犬の授乳姿勢」

 成功のカギとなる尺度は、母犬が子犬に授乳させる際に立っているか横になっているかだった。

 論文共同執筆者のロバート・セイファース(Robert Seyfarth)氏は「母犬が腹ばいになっていると子犬は基本的に自由に乳を飲むことができるが、母犬が立っていると子犬は乳を飲むのに努力しなければならなくなる」と説明し、子供が後の人生で成功するには、子供が自分で克服できる程度の障害を親が子供に与える必要があるという仮説を立てられるかもしれないと述べた。「なぜならご存じの通り、大人としての人生は障害を伴うものだからだ」

 人間の行動にも同様のことが言えるかもしれない。「ヘリコプター子育て」(上空から監視しているような、子供に過剰に干渉する子育て)が子供の幸福にとって極めて有害である恐れがある一方、自立心と、逆境に直面してもくじけない強い精神を育てることが生涯の恩恵をもたらすと、専門家らは指摘している。

 犬については、母犬の心配がその子犬にどのようにして伝わる可能性があるのか研究が続けられている。過保護に育てられた子犬が母犬の不安を感じ取るのか?子犬が何らかの形で育て方に反応しているのか?それとも子犬をより臆病にさせる遺伝子が子犬に継承されているのだろうか?

「育児には微妙なバランスがあるように思われます」とブレイ氏は述べる。「例えば『子供に過剰な愛情を注ぐ母親は最悪だ』などと言うのは簡単ですが、そのメカニズムはまだ正確には分かっていないのですから、その反対方向へ極端に傾くことがないようにしたいものです」 (c)AFP