■離婚調停でも、女性は妥協を求められる

 アフガニスタン社会では離婚した女性が自立して生活する事例はまれで、嫌がらせを受けることも多い。調停は離婚を防ぐ最後の望みとされるが、ほとんどの場合、女性は妥協を求められる。

 カブール(Kabul)で人権団体「アフガニスタン女性のための女性たち(Women for Afghan WomenWAW)」が行った調停をAPF記者が傍聴した。

 4児の母親であるザーラさん(24)はこの日、別居中の夫と義母と対面した。ザーラさんは、夫が薬物依存症であること、また近隣住民の娘と恋仲になり第2夫人にしたことを理由に離婚を申請していた。

「赤ん坊がいる目の前で彼は薬物を使用し、私を虐待し始める」。子どもにまとわりつかれながらザーラさんは話した。

 一方、彼女の義母は、「人生を棒に振るのはやめて、子どもたちのことを考えなさい」と異議を唱え、「息子のもう1人の妻は、息子が第2夫人をつくったのはあなたのせいだと言っている」と付け加えた。ザーラさんの夫は、実母が反論する中、表情一つ変えずに座っていた。

 ザーラさんは家を出てから、虐待の被害を受けた女性たち向けのシェルターで暮らしていた。こうした女性専用のシェルターは、保守的な人々には「売春宿」に例えられている。

「あまりに激しく殴られるので、義理のきょうだいのところに行って夫に薬物を買うお金を渡してやってほしいと頼んだこともある」と、ザーラさんは涙を流しながら訴えた。

 すると今度は、なんとか嫁を家に戻そうとなだめるような口調で「帰っておいで」「息子は二度とあなたをぶったりしないから」とザーラさんの義母は声のトーンを変えて語りかけた。(c)AFP/Anuj CHOPRA