【12月31日 AFP】マスーマ・ハサニ(Masooma Hasani)さん(18)はスキーをしている最中に石を投げつけられることがある。保守的なアフガニスタンでは女性がスキーをするのは不適切だと考えられているためだ。

 しかし、意外な人たちがそうした社会通念を変えようとしている。女性の権利擁護を説くイスラム教の指導者たちだ。

 アフガニスタン中部バーミヤン(Bamiyan)に住むハサニさんは何年も前から、体の線が分かるぴったりしたスキーウエア姿の女性を見慣れていない男性たちの嫌がらせに耐えてきた。

 ハサニさんは12月10日の世界人権デーに合わせてカブール大学(Kabul University)で7日に行われた講演会で「人々は『女性にスポーツをする権利はない。女性は料理や掃除など家事をするために生まれてくる』と思っています」と語った。「私の家族は、女性にスキーをさせるなんて恥知らずだとののしられ、兄弟が暴力を振るわれたこともありました。私は泣きました」

 ハサニさんは小柄だが元気がいい女性で、自分の考えをしっかり持っている。そんな彼女の支えとなっているのは、地元社会で尊敬され、影響力のあるイスラム教指導者らが金曜礼拝で行う説教だ。

 国連開発計画(UNDP)は男女平等を促す取り組みの一環として、アフガニスタン全土で400人を超える宗教指導者に女性の権利に関する説教の研修を行った。研修を受けた宗教指導者らによる説教は女性の社会的・経済的権利に関する人々の意識を高めるのに役立っている。

 宗教指導者の教えが地域の人々の態度を変えたと、ハサニさんは言う。「以前はからかわれていたけれど、今は私のことを誇りに思うと歓迎されるようになりました。今ではたくさんの少女や女性たちが、私たちがスキーをしている姿を見に来ます。数年前には考えられなかったことです」

 2001年に旧支配勢力のタリバン(Taliban)政権が倒れて以来、アフガン女性の地位は大きく向上した。だが依然として社会進出は遅れており、ソーシャルメディアでハッシュタグ「#WhereAreTheWomen(女性はどこにいる?)」が話題になったほどだ。

 長年の内戦で社会機構は崩壊し、アフガン女性は今も暴力や強制結婚などの抑圧に苦しんでいる。

 それでもバーミヤンでは近年、スポーツ競技会が開催されるようになり、最近では11月に同国で唯一の男女混合のスポーツイベントである国際マラソン大会が行われた。(c)AFP/Anuj CHOPRA