【8月27日 AFP】インド東部オリッサ州(Orissa)で病院職員らが、救急車が不足しているために高齢女性の遺体の骨を折って小さく折り曲げシーツにくるみ、棒につるして運ぶ様子を捉えた映像が公開され、国内で激しい怒りの声が上がっている。こうした事例は今週2度目。

 映像の中で病院職員らは、腰骨あたりを折ったとみられる女性の遺体をシーツにくるんで運んでいる。遺体は、列車にはねられて死亡した80歳前後の女性のものだった。

 オリッサ州では数日前にも、結核で死亡した妻の遺体を抱えて病院から10キロ離れた自宅まで徒歩で帰ることを余儀なくされた男性の映像が公開されていた。同州で相次いで起きた2件の事例を捉えた映像は、ソーシャルメディアやテレビ番組で次々に取り上げられ、貧しい患者らに対する当局の扱いをめぐってネットユーザーや視聴者から批判の声が殺到した。

 オリッサ州のナビーン・パトナイク(Naveen Patnaik)州首相は報道陣に対し、非常に痛ましい出来事だと述べ、現在調査を進めており、遺体を搬送する救急車の配備へ向けた策も講じていくことを明らかにした。また州政府は、州内で霊きゅう車を無料で利用できるサービスも導入したと述べた。

 インドの公立病院では、家族の遺体を自宅まで運ぶ際に救急車の利用を認めるケースは少なく、遺族は高額の自己負担で民間の霊きゅう車を手配せざるを得ない。

 世界銀行(World Bank)によれば、インドでは保健制度に対する政府予算が国内総生産(GDP)の5%未満で、インフラと人的資源の深刻な不足に悩まされている。(c)AFP