米国の水泳選手、リオ五輪で公正な競技に確信「持てない」
このニュースをシェア
■高潔性の危機
マーシュ監督は、「われわれのスポーツでは、薬物も違反者もゼロだといえる段階には至っていない」とすると、「これらは、メダルの行方と競技の高潔性にとって最大の脅威になる」と危機感を募らせている。
マーシュ監督と米国水泳連盟(USA Swimming)でエグゼクティブ・ディレクターを務めるチャック・ヴィエルグス(Chuck Wielgus)氏は、米国反ドーピング機関(USADA)の取り組みを称賛しており、今回の代表選考会は公正に行われる確信があると強調。さらに世界各国の反ドーピング機関に対して、内部告発者による情報の確認作業など、選手への検査に加えて「調査」手続きのための人件費や権限の拡大が必要であると訴えた。
マーシュ監督はまた、ロシアでは陸上のみならずほかのスポーツでも「組織ぐるみ」によるドーピングの隠ぺい工作が行われているとする一方で、「一線を越えるような行為が繰り返されているのは、この国だけではない」と警鐘を鳴らしている。
今年に入ってからは中国にも疑惑の目が向けられており、英タイムズ紙によれば、同国競泳男子のスター選手である孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)が2014年に禁止薬物の使用で3か月間の出場停止処分を受けていた問題では、同国が検査結果を隠ぺいしていたと伝えられている。
中国水泳協会(CSA)はもみ消し疑惑を否定しており、3月には筋肉増強剤のクレンブテロール(Clenbuterol)に陽性反応を示した2選手に警告を与えたことに加え、禁止されている利尿剤のヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide)が検体から検出された3選手について、審理が行われることになっていると発表した。
「われわれは、ロシアや中国の水泳選手に対して大きな影響を及ぼすような手段にも出られないし、発言をすることもできない」と話すヴィエルグス氏は、「FINAやWADA、そして疑惑のある国のドーピング検査機関が対処しなければならないことが問題だ。なぜなら他の国には、USADAのような強固な反ドーピング組織が存在しないからだ」と強調した。
一方、五輪で11個のメダルを獲得しているライアン・ロクテ(Ryan Lochte、米国)は、ドーピング問題に悩まされてはいないと話し、「ほかの水泳選手がドーピングや不正行為を行っているかどうかなんて気にしない。ドーピングしていようがしていまいが、僕を打ち負かすには競技に出ることだ。僕にできるのもそれだけだよ」とコメントした。(c)AFP/Rebecca BRYAN