【6月25日 AFP】ロシア陸上界のドーピングスキャンダルが同国水泳界への疑惑にも発展している問題で、リオデジャネイロ五輪の代表選考会に臨む米国の水泳選手に心理的な影響が出ている。

 五輪で二つのメダルを獲得している米国のエリザベス・ベイセル(Elizabeth Beisel)は、リオ五輪で公正な競技が行われる確信は「まったく持てない」と困惑しており、「世界各国からのニュースで人々が情報を知り、その話題やうわさや臆測で持ちきりになっています。そのことが常に頭から離れません」と訴えた。

 英紙タイムズ(The Times)と独紙フランクフルター・アルゲマイネ(Frankfurter Allgemeine Sonntagszeitung)は17日の合同記事で、ロシア陸上界のドーピング事情を暴露した2人の男性が、1年分の報酬と引き替えに、ロシアの水泳選手の薬物検査を免除するよう申し出を受けていたと報道。国際水泳連盟(FINA)はその記事を「非常に深刻な申し立て」と受け止め、調査を開始している。

 FINAはまた、今年1月から禁止薬物に指定されたメルドニウム(Meldonium)に陽性反応を示した競泳女子100メートル平泳ぎの現世界選手権覇者ユリア・エフィモワ(Yuliya Efimova、ロシア)の問題も抱えている。

 メルドニウムが体内に影響を及ぼす期間について世界反ドーピング機関(WADA)で研究が進められている中、FINAは先月エフィモワに対する出場停止処分を解除した。2013年のドーピング検査で禁止薬物のDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の使用が発覚し、16か月間の資格停止処分を受けていたエフィモワは、これでリオ五輪に出場する可能性が開かれている。

 女子競泳界で数々の世界記録を保持しているケイティ・レデッキー(Katie Ledecky、米国)が、ドーピングに関する最近の取り組みや罰則の「厳格化」を歓迎している一方で、米国女子代表チームのデビッド・マーシュ(David Marsh)監督は、まだ道のりは長いという見解を示した。