【6月20日 AFP】15-16NBAファイナル(7回戦制)は19日、カリフォルニア(California)州オークランド(Oakland)で最終第7戦が行われ、クリーブランド・キャバリアーズ(Cleveland Cavaliers)が93-89でゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)を下し、シリーズ通算成績4勝3敗で初のファイナル制覇を遂げた。

 キャバリアーズは、レブロン・ジェームズ(LeBron James)が27得点、11リバウンド、11アシストを記録するなど攻守にわたる活躍をみせ、1勝3敗から大逆転優勝を果たした史上初のチームとなった。

 自身3回目のNBAファイナル最優秀選手(MVP)に選出されたジェームズは、勝利が決まった直後に感極まった様子で、「1勝3敗の劣勢に立たされながらも、一丸となって素晴らしい試合を戦うことができた」とコメント。「これは格別だ。とにかく前向きな姿勢で臨んでいたけど、どうやってこの厳しい道のりを進めたのか分からない。勝ち目はなかった」とシリーズを振り返った。

 キャバリアーズは、26得点を記録したカイリー・アービング(Kyrie Irving)が試合時間残り52秒で3ポイントシュートを決め、これが決勝点となって初戴冠。クリーブランド(Cleveland)に米四大スポーツのタイトルがもたらされたのは、1964年に米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のクリーブランド・ブラウンズ(Cleveland Browns)が優勝して以来となった。

■クリーブランドにささげる勝利

 ジェームズは最後の瞬間が訪れ興奮に包まれると、「クリーブランド、これは君たちのものだ」とコートで叫んだ。

 「キング」ジェームズは、1969年のジェリー・ウェスト(Jerry West)氏と1988年のジェームズ・ウォージー(James Worthy)に次いで、NBAファイナルの第7戦では史上3人目となるトリプルダブルを記録。6季連続で通算7度目となる今回のファイナルでは、1試合平均でシリーズ最多の29.7得点、11.3リバウンドに加え、平均8アシスト以上、スティールとブロックも平均2本以上を記録するなど、王座の行方を決める試合で全般的な数字でも最も高い数字を残している。

 NBAファイナルにおいて、1勝3敗の劣勢から第7戦まで持ち込んだのは、今回のキャバリアーズが50年ぶりで史上3チーム目。同シリーズが第7戦までもつれたのは通算19回を数えるが、そのうち敵地で優勝を決めたのはこれが史上4チーム目で、1978年にシアトル・スーパーソニックス(Seattle SuperSonics)のホームで勝利したワシントン・ブレッツ(Washington Bullets)以来の快挙となっている。

 一方のウォリアーズは、レギュラーシズンでリーグ歴代1位の73勝を挙げながらも、NBAファイナルの歴史で最悪の敗北を味わった。

 この試合でチーム最多の32得点を挙げたドレイモンド・グリーン(Draymond Green)は、「最悪だ。3勝1敗でリードしていたのに、負けるなんて悔しい」とコメントした。

 勝ったチームにタイトルがもたらされる第7戦は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領も関心を寄せ、家族旅行の帰途に大統領専用機「エアフォースワン(Air Force One)」で観戦していたほか、8500ドル(約88万9500円)で販売されたコートサイドのチケット価格が4万9500ドル(約515万円)まで高騰した。

 この日は、歴史的なシリーズに決着がつくまで、ファンにとっては手に汗握る展開となった。

 ジェームズがフリースロー3本と3ポイントシュートを決めて89-87とリードを奪ったキャバリアーズに対し、ウォリアーズも試合時間残り4分39秒でクレイ・トンプソン(Klay Thompson)がレイアップを沈め、同点に追いついた。

 その後、計6回のポゼッションで両チームが無得点という状況が続いたが、アービングの3ポイントシュートで試合が動いた。

 そして、再びキャバリアーズの攻撃で、ジェームズがタイトルを引き寄せるダンクシュートを試みたが、グリーンのファウルに阻止されてしまった。それでも、ジェームズがフリースローを1本決めてキャバリアーズがリードを広げると、残りわずかの時間でウォリアーズは点差を縮めることはできなかった。

 2013年以降では、初めての3連敗を喫したウォリアーズは、得点王のステフェン・カリー(Stephen Curry)が17得点にとどまり、同じく3ポイントシュートの名手であるトンプソンも14得点に終わった。(c)AFP/Jim SLATER