白人でなくても世界は救える ─ アフリカでヒーロー漫画文化が開花
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【3月11日 AFP】アフリカ人のスーパーヒーローのみが登場するナイジェリアのコミック「アジェ(Aje)」の第1巻で、女子大生のテニ(Teni)は嫉妬にかられ、紫の稲妻とともにボーイフレンドに呪いをかける。「コニ・ダラ・フン・オ・ニ・イ・アイェ(お前の人生は今以上に良くなることはない)」。テニは同国の主要民族の一つ、ヨルバ人の言葉でこう唱える──。
テニを生み出したのは、コミック・リパブリック(Comic Republic)社を創業したジャイディ・マーティンズ(Jide Martins)さん(37)。同社はアイアンマン(Iron Man)やバットマン(Batman)、スパイダーマン(Spiderman)に並ぶアフリカ発のスーパーヒーローを作る、一握りのスタートアップ企業の一つだ。
『X-メン(X-Men)』に登場するスーパーヒーローで、米国と架空の国ワカンダ(Wakanda)との二重国籍を持つストーム(Storm)と違い、マーティンズさんが作るスーパーヒーローたちは生まれも育ちも、そして戦いの地もアフリカだ。
「大学生のときに、スーパーマン(Superman)がナイジェリアに来たらどうなるだろうと考え始めた」と、マーティンズさんはラゴス(Lagos)の自宅アパートでAFPに語った。ダイニングルームは、自分の下で働く若いイラストレーターたちの仕事場にもなっている。
「人々は規範から外れた、新しいあこがれの存在を探している」とマーティンズさんは言う。「白人でなくても世界は救える」
アフリカでは今、同大陸に根付くブードゥーやオカルト信仰の伝統を取り込んだ地元発のスーパーヒーロー産業が急成長を遂げている。