■名前はナイジェリア式、コスチュームはアメコミ風

 マーティンズさんは2013年、ナイジェリア国旗の色である緑と白のスーパースーツを着たヒーローの活躍を描く「ガーディアン・プライム(Guardian Prime)」の第1巻を出版した。以来、読者数は1巻当たり100人から2万8000人以上に拡大した。

 30ページ余りのコミックは無料で、ダウンロード可能な電子版でしか提供していない。だが、マーティンズさんは広告や関連事業などで会社運営に十分な収入が得られている。関連事業には、コミックのキャラクターが登場するマラリア対策の教育用小冊子などがある。

「アフリカのコミックでは伝統衣装を着た人々を登場させなければいけないという固定観念があるが、私はそれは違うと思う」

「ヒーローにはナイジェリアの名前をつけ、ナイジェリアの人々を救ってもらうが、コスチュームはスパンデックスを着せたい」

 コミック研究者らにとって、マントをまとった白人の救世主ばかりの世界で、アフリカ人のスーパーヒーローが出現するのはごく自然なことだった。

「長年の懸案事項だった」と語るのは、2013年の書籍「ブラック・コミックス:人種と表象の政治学(Black Comics: Politics of Race and Representation)」の共同編者であるロナルド・ジャクソン(Ronald Jackson)氏だ。「他のアイデンティティーを好意的に見ることができるようになるにつれて、私たちはアフリカ産コミックから生まれるイメージをもっと受け入れられるようになるだろう」

「まだあまり見られないのが、映画やテレビ番組など、大型の派生作品だ。アフリカ産コミックにとって、これは次のステップになるだろう」