【2月12日 AFP】(更新、写真追加)メキシコ北部ヌエボレオン(Nuevo Leon)州の工業都市モンテレイ(Monterrey)の刑務所で10日深夜から11日未明にかけて暴動が発生し、受刑者らがバットや棒、刃物を使って攻撃し合った上、所内に火も放たれた。受刑者49人が死亡した。

 記者会見したハイメ・ロドリゲス(Jaime Rodriguez)州知事によると、暴動は収容過多になっているトポチコ(Topo Chico)刑務所で11日午前0時(日本時間同日午後3時)の少し前に発生し、11日午前1時半(日本同日午後4時半)ごろ鎮圧された。

 ロドリゲス知事は、「52人の死亡が確認された。身元の特定作業は続いている」と述べ、死者は全員受刑者だったと明かした。その後、死者は49人と確認されたと訂正した。

 同知事によると、抗争のきっかけは所内で対立する2派閥のリーダーらが起こした口論。一方の派閥を率いていたのは、麻薬密輸組織セタス(Zetas)の構成員だった。途中、30~40分に及ぶ「激しい衝突」に発展し、受刑者らが備品室に放火。この衝突で12人が負傷、うち5人は重傷だという。

 知事の話では、60年前に開所されたこの刑務所には、定員の2倍に当たる3800人の受刑者が収容されているという。衝突が発生した際、内部に女性や子どもが複数いたという情報もあったが、これについて知事は否定した。

 同刑務所には軍や連邦警察が派遣され、秩序の回復に当たった。同知事は、事件の最中に脱走した受刑者はおらず、銃器の使用もなかったと述べた。

 メキシコの刑務所は深刻な過密状態にあり、近年大規模な脱走事件が相次いでいる。2012年2月には同じくモンテレイにあるアポダカ(Apodaca)刑務所で、受刑者30人が脱走、44人が死亡する事件が発生した。(c)AFP/Erick Muniz