【7月21日 AFP】ロシア・プレミアリーグのFCゼニト(FC Zenit)に所属するブラジル代表FWのフッキ(Hulk)が20日、ロシアのサッカー界にまん延する人種差別を「恥ずべきこと」と語り、2018年に同国で行われるW杯(2018 World Cup)で人種差別が問題になるのではないかと懸念を示した。

 17日のリーグ開幕戦で、FCウファ(FC Ufa)に所属するガーナ人MFのエマヌエル・フリンポン(Emmanuel Frimpong)が人種差別的な罵詈(ばり)雑言に激高し、わずか30分で退場になってから、ロシアサッカー界は人種差別問題に揺れている。

 昨シーズンの得点王であるフッキは20日、報道陣に対し「恥ずべきことだ」と語った。

「人種差別はどこでも、どんな人生にも起こり得ることだ。しかし、それはとても悲しくて、起こるべきことではない」

「2018年のW杯でそんなことがあったら、世界中の目にさらされて、深刻な問題になるだろう」

 フッキは、「過去には、こういった人種差別的な流れに僕自身も気分を害し、激怒していた。でも、ここでは審判もサッカー関係者も、この問題を深刻にはとらえていない」と続けた。

「だから今は怒らないようにしている。僕の気分を害そうとするやからには、投げキスをするんだ」

 アルゼンチン代表DFのエセキエル・ガライ(Ezequiel Garay)も、チームメートであるフッキの懸念に理解を示している。

「僕もまた『黒人』だから。こういうことがあると、恥ずかしいことだと思う。ファンには、選手の出身地や肌の色にこだわるのではなく、サッカーを全力で楽しむよう伝えたい。僕らはみんな同じ、サッカー選手だ」

 17日の事件の後、標的になったフリンポン自身もロシアサッカー界の現状について驚いていることを明かし、W杯まであと3年しかないことを心配していると述べた。

 フリンポンはツイッター(Twitter)で、「こんな状況でも、この国でW杯が行われ、アフリカ人選手がプレーしなければならない」とコメント。「挑発された後、退場になってしまったことを謝罪したい。起こるべきことではなかったけど、僕も人間だ」と続けた。

 2-2のドローで終わった試合について、23歳のフリンポンは、「大好きな試合で人種差別を受けた。スパルタク・モスクワ(Spartak Moscow)と引き分けたのは最高の結果だ。チームを誇りに思うし、差別という苦痛も甘んじて受け入れる」としている。(c)AFP