【12月2日 AFP】ロシア・プレミアリーグで審判を務めるアレクセイ・マチュニン(Alexei Matyunin)氏は、ゼニト・サンクトペテルブルク(Zenit St. Petersburg)のフッキ(Hulk)に人種差別的な発言をしたのではないかという疑惑を一蹴した。

 地元メディアは1日、フッキがロイター(Reuters)通信ブラジル支局とのインタビューで、人種差別を受けたことを明かしたと報じた。

 報道によれば、マチュニン審判がフッキに対し、「君も、その他大勢の黒人も嫌いだ」と暴言を吐いたという。

 しかし、FCモルドヴィア・サランスク(FC Mordovia Saransk)対ゼニト戦で笛を吹いたマチュニン審判は、これが悪意のある言いがかりだと主張している。

 マチュニン審判は露紙「スポーツ・エクスプレス(Sport Express)」に対し、「誰かの嘘やたわ言に、いちいちコメントしたくない」とし、「計画的に操作された事件だと思う。人種差別は、法的に罰せられる重大な問題だ。これを立証するには、明確な証拠が必要だ」と話した。

「一方で、名誉毀損(きそん)も重大な問題である上に、裁判で立証するのはそこまで難しくない。われわれは、このねつ造された中傷の情報源をたどっている。調べ終わったところで、法的な措置を取るつもりだ」

 それでもマチュニン審判は、フッキの主導で、疑惑が持ち上がったわけではないと考えているようだ。

「今のところ、誰がこのスキャンダルを主導したのかわからない。私には、フッキがやったとは思えない」

 マチュニン審判は、うそ発見器による検査を受け、無実を証明したいと話している。

 ロシアサッカー連合(RFS)の審判協会に所属するワレンチン・イワノフ(Valentin Valentinovich Ivanov)氏は、この疑惑をただのうわさだと一蹴、事件の調査にあたりたいと話した。

「マチュニンは、サランスク(Saransk)のピッチでフッキと交わした短い会話が、人種差別とはまったく関係のないものだと言っている。そして私は彼を信じる」

 モルドヴィアのユーリー・ショミン(Yuri Semin)監督も、人種差別的な発言はなかったのではないかとしている。

「事件があったとき、フッキの近くにいた選手に聞いたけど、フッキと審判の間に人種差別的な会話はなかったと言っていた」

(c)AFP