【7月17日 AFP】1896年にギリシャのアテネ(Athens)で行われた近代五輪の第1回大会から、8年後に米ミズーリ(Missouri)州セントルイス(St. Louis)で行われた「みの虫競争」まで、国際オリンピック委員会(IOC)の本部には五輪のさまざまな歴史が残されている。

 スイス・ローザンヌ(Lausanne)にあるIOC本部の地下には、ビデオ3万3000時間分、写真50万枚、記録文書2000点が保管されているものの、中には劣化や消失の危機にさらされていたものもあった。

 しかし、世界中から専門家を呼び寄せ、7年間で総額3000万ユーロ(約40億円)を投じて行われた保存プロジェクトにより、IOCは貴重な資料の多くを修復することに成功した。

 同プロジェクトの先陣を切る世襲財産管理(Patrimonial Assets Management、PAM)プログラムの担当者フィリップ・ローレンス(Philippe Laurens)氏は、「遺産を守るための急務でした」と当時の状況を振り返る。

 ジャック・ロゲ(Jacques Rogge)前会長のもとで2007年に保存プロジェクトが始動したとき、IOCは、資料の大部分が損失の危機に直面していることを発見した。

 色あせた写真は劣化が進み、フィルムも「ビネガーシンドローム」と呼ばれる加水分解が進んでいた。

 ビデオの中には状態が良いものもあったが、それを再生する機械がないため、現代の装置に対応するよう映像を焼き直す必要があった。