■終わりなき仕事

 難を逃れた資料の中には、近代五輪の創立者ピエール・ド・クーベルタン(Pierre de Coubertin)男爵の音声や、五輪では二度と見られないような映像もあった。

 たとえば、1912年のストックホルム大会で、2人のレスラーが取っ組み合う中、後ろにいる審判が、麦わら帽子とトレンチコートを着用しているようなシーンなどがそれにあたる。

 IOCは、五輪について調査する研究者やジャーナリストが、これらの資料を閲覧できるようにしたいとしている。

 IOCのクリストフ・ド・ケッペル(Christophe De Kepper)事務局長は、「先人から継承した1世紀以上にわたる五輪の歴史の文化的遺産を伝えていくことは、私たちの責務です」と話している。

「IOCの遺産は、時の試練に耐えることができるようになりました」

 この努力の結果、IOCは9月に国際放送展(International Broadcasting ConventionIBC)で表彰を受けることになった。

 それでもIOCのメンバーは、五輪の歴史を残す仕事はこれからも続いていくことを覚悟している。

 2016年のリオデジャネイロ五輪では、新たに3500時間分のビデオと、4万枚の写真が撮影されることになっている。(c)AFP/Eric BERNAUDEAU