テロ擁護発言はなぜ犯罪? 仏の「表現の自由」に集まる注目
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■複雑に絡み合う法律
表現の自由の権利は、フランスの人権宣言と「欧州人権条約(European Convention on Human Rights)」に正式に記されているが、1881年の出版自由法によって制限が課されている。
同法では「個人または集団に対して、その出自、もしくは民族、国家、人種、宗教に属する、または属しないことに起因する差別、嫌悪または暴力」を誘発する者に対し、1年以下の禁錮刑と4万5000ユーロ(約610万円)の罰金を科すことを定めている。また、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)などの人道に対する罪が行われたことを疑問視する者にも同様の刑罰が科せられ、テロリズムを擁護する者には5年以下の禁錮刑が科せられる。
これらの法律の適用は、過去の判例や伝統によってさらに困難になっている。
フランスの裁判官らは、コメディアンや風刺雑誌に対して起こされた訴訟を審理する場合、法律には明記されていないものの暗黙の了解となっている「ユーモアの権利」を認めている。
また、仏パリ大学クレテイユ校(University Paris Est Creteil、UPEC)の人権問題専門家、パトリス・ローラン(Patrice Rolland)氏によると、欧州人権裁判所(European Court of Human Rights、ECHR)は、国民的論議の一環として物議を醸す発言をすることは許されるとの判決を過去に下しており、同裁判所の言い渡す判決は関係国に対して法的強制力を持つ。