【11月14日 AFP】国際医療援助NPO「国境なき医師団(Doctors Without BordersMSF)」は13日、エボラ出血熱の治療薬と回復患者の血液から作った製剤について、西アフリカの患者を対象に初めての臨床試験を開始すると発表した。

 臨床試験が行われるのは、富士フイルムホールディングス(FujiFilm Holdings)傘下の富山化学工業(Toyama Chemical)が開発した抗ウイルス剤で、日本で今年3月にインフルエンザ治療薬として承認された「アビガン(Agivan)」(一般名「ファビピラビル(favipiravir)」)。フランス国立保健医学研究所(National Institute of Health and Medical ResearchINSERM)がギニア南部のゲケドゥ(Gueckedou)で臨床試験を行う。

 また、ベルギー・アントワープ(Antwerp)の熱帯医学研究所(Institute of Tropical MedicineITM)の主導で、「回復患者の血液を使った全血および血漿(けっしょう)製剤」の試験を、ギニア首都コナクリ(Conakry)のドンカ(Donka)病院内MSFの治療センターで実施する。

 MSFによると、最初の臨床試験は来月に行われる予定で、結果は来年2月に得られる見込みだという。

 またMSFでは、3つ目の臨床試験についても検討している。これは抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir)で、リベリアの首都モンロビア(Monrovia)での試験となるが、正式にはまだ決まっていない。

 致死率70%とされているエボラウイルスは、患者の体液に触れて感染し、出血や発熱の症状が現れる。現時点では確立された治療方法はなく、早期発見後の解熱剤の使用と水分および栄養の補給が唯一の手だてとなっている。ワクチンも未承認だが、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKlineGSK)の「ChAd3」に有用性があると考えられており、現在マリなどで試験が行われている。(c)AFP/Nina LARSON with Frankie TAGGART in Dakar