【11月11日 AFP】30年前に音楽を通じた慈善活動「バンド・エイド(Band Aid)」を呼びかけたアイルランド出身のロックシンガー、ボブ・ゲルドフ(Bob Geldof)が10日、今度はエボラ出血熱と闘うための資金収集を目指し、チャリティーシングル「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?(Do They Know It's Christmas?)」の新バージョンをリリースすると発表した。

「バンド・エイド」は1984年、エチオピアの飢餓救済運動に一役買おうと始まった。過去30年間に3バージョンが録音され、記録的なシングル売り上げ枚数を誇っている。今回4度目となる新バージョンの収録には、アイルランドのロックバンド「U2」のボーカル、ボノ(Bono)や英ロックバンド「コールドプレイ(Coldplay)」のクリス・マーティン(Chris Martin)、英人気アイドルグループ「ワン・ダイレクション(One Direction)」らが参加を表明している。

 30年前のイベントを一緒に立ち上げたミッジ・ユーロ(Midge Ure)さんと共に英ロンドン(London)で記者会見したゲルドフはエボラ出血熱について、「人々の触れ合いを不可能にするという点で特に壊滅的な病気だ、実にいまわしい」と語った。

「死に際の子どもたちを母親が慰めてやれない。恋人同士でも抱きしめ合えない。妻が夫の手を握ることも許されない。病気のせいで人々が街を追い回される。われわれも同じ目に遭いかねない」

 ゲルドフは、新バージョンのリリースを決めたのは懐かしさからではなく、エボラ熱拡大を食い止めるために必要な資金が不足していることを懸念した国連(UN)から3週間前に要請があったためだと明かした。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)によると、リベリア、ギニア、シエラレオネのほぼ全域の西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱による死者はこれまでに5000人近くに上っており、全世界で感染が確認された患者数は1万3000人を超えている。

 参加を表明しているアーティストにはこの他、バスティル(Bastille)、エド・シーラン(Ed Sheeran)、エルボー(Elbow)、エリー・ゴールディング(Ellie Goulding)、エミリー・サンデー(Emeli Sande)、フォールズ(Foals)、パロマ・フェイス(Paloma Faith)、クイーン(Queen)のドラマーのロジャー・テイラー(Roger Taylor)、シネイド・オコナー(Sinead O'Connor)、アンダーワールド(Underworld)など。

 レコーディングは、30年前に収録が行われたのと同じ、西ロンドンのサーム・スタジオ(Sarm Studios)で今月15日に行われる予定。楽曲ダウンロードは今月17日から可能になり、店頭での発売はその3週間後。価格はダウンロードが0.99ポンド(約180円)、CDが4ポンド(約730円)。(c)AFP/Robin MILLARD