【11月5日 AFP】津波に対する自然界の障壁になると長く考えられていた小島は、打ち砕くはずの波を実際には増幅する恐れがあるとの研究結果が4日、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society A)」で発表された。

 各国の沿岸地域では、沖合の島々によって波から守られていると古くから信じられてきた地域に多くの人々が暮らしている。だが、波の動きのシミュレーション結果から、こうした地域の一部では、2004年のインド洋大津波や2011年の東日本大震災での津波と同じような津波の危険性が、これまで考えられていたよりも高いことが示された。

 研究チームは、島と海岸の傾斜、水深、島と海岸の距離、および津波の波長を様々に変えた200回のコンピューターシミュレーションを実施。その結果、いずれのシミュレーションでも島の存在がその背後の海岸地域を守るものではないとの結論が出た。

 論文の共著者、仏数学研究応用センター(Center for Mathematical Studies and their ApplicationsCMLA)のフレデリク・ディアス(Frederic Dias)氏がAFPの取材に語ったところによると、津波のエネルギーは逆に「最大で70%」増幅された。「(島は)しばしばレンズの役割をして、波の破壊力を集中させる」のだという。

 ディアス氏によると、ギリシャやインドネシアのような国の沿岸地域は特に、今回の研究で明らかにされた現象の危険にさらされている。(c)AFP