【12月17日 AFP】インド洋で約3300年から2800年前にかけて発生した巨大津波の「驚くべき」痕跡がインドネシア・スマトラ(Sumatra)島の洞窟で発見されたと、シンガポール南洋理工大学(Nanyang Technological University)の研究所が13日発表した。

 同大に属するシンガポール地球観測センター(Earth Observatory of Singapore)とスマトラ島北部アチェ州(Aceh)のシャクアラ大学 (Syiah Kuala University)の共同チームは、アチェ州の州都バンダアチェ(Banda Aceh)南方の洞窟内に津波堆積物の層を発見。チームによると堆積物は巨大津波の発生が一定間隔ではないことを示しており、同島沿岸部では常に津波への警戒が必要であることを意味するという。

 洞窟内で発見された砂堆積物は、数千年前に起きた複数の津波によってできたもの。海底生物の小さな化石を含んでおり保存状態は良好で、コウモリのふんの堆積物によって隔てられていた。

 洞窟は入り口が高く隆起しており、洞窟内に進入できるのは巨大な津波や高潮に限られる。このため、中の堆積物が風や海水による浸食から保護されていたとみられる。チームは、この堆積物層の形成時期は約3300年から2800年前ごろで、その間に4~5回の津波が洞窟一帯を襲ったと推測した。

 アチェ州では2004年のインド洋大津波に見舞われるまで数百年間、巨大津波は起きていなかった。しかし今回発見された堆積物は、津波の発生が周期的ではないことを示唆しており、アチェ州の災害対策や避難計画を立案者らは、これを考察材料としてほしいとチームは訴えている。

 アチェ州周辺は2004年のスマトラ冲地震によるインド洋大津波で壊滅的な被害を受け、同州だけで17万人が死亡した。(c)AFP