【4月30日 AFP】脱税で有罪が確定したイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)元首相(77)が、裁判所から命じられた社会奉仕活動を軽視する発言を繰り返し、司法当局と再びトラブルになっている。

 イタリアでは70歳以上の実刑確定者に対し、情状酌量として禁錮刑の代わりに社会奉仕活動を命じている。

 だがメディア王のベルルスコーニ元首相は、自らのメディアを通じてイタリアの司法制度と、社会奉仕活動について批判を繰り返している。

「社会奉仕活動と、15日ごとのソーシャルワーカーとの面談で私を再教育できると考えているなら滑稽だ」と、ベルルスコーニ氏は28日のテレビインタビューで語った。

「(イタリアで)最も長い期間元首を務め、主要8か国(G8)首脳会議の議長を3回務めた世界で唯一の人物を、社会奉仕活動に委ねるというのは、私にとっても国にとってもばかげたことだ」

 報道によると、管轄のミラノ(Milan)の裁判所は、ベルルスコーニ氏への警告を検討しているとされ、ベルルスコーニ氏が今後も司法制度の批判を続けるようであれば、社会奉仕活動命令を取り消し、自宅軟禁処分に切り替えることも検討しているという。

 ベルルスコーニ氏は約2000人の高齢者と身体障害者が利用する教会施設で毎週1回、4時間以上の社会奉仕活動を命じられている。開始日については30日に発表される見通し。

 ベルルスコーニ氏は自らの率いるフォルツァ・イタリア(Forza Italia)の欧州議会選挙に向け、ここ数日間テレビやラジオへの出演を増やしている。だがユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をめぐって失言し、28日には発言の撤回に追われた。

 ベルルスコーニ氏は25日、ナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所の実在をドイツ人が否定していると発言。また、別のインタビューでは、野党・五つ星運動(Five Star movement)の代表をアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)に例える発言をした。世論調査によると、五つ星運動は現在、フォルツァ・イタリアをリードしている。(c)AFP