【4月1日 AFP】イタリア元首相のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏が、自らの人気の落ち込みを押し返す新戦略を明らかにした──路上をさまよう大量の野良犬や野良猫のために、新しい飼い主を見つけることだ。

 30日の伊メディアによると、党首を務める中道右派政党フォルツァ・イタリア(Forza Italia)が自らの昨年の失職で打撃を受け、支持を回復させようと必死のベルルスコーニ氏は、首都ローマ(Rome)にある自分のファンクラブの一つに電話をかけ「捨てられた数千匹の犬と猫のために、里親を探す必要がある」と告げた。

 イタリア放送協会(RAI)が29日に行った世論調査によると、フォルツァ・イタリアの支持率は、伊民主党(Partito DemocraticoPD)と、反権力を掲げる「五つ星運動(MoVimento 5 StelleM5S)」に次ぐ3位だった。

 同日、ベルルスコーニ氏は自分が提唱する大規模な「里親探し」戦略について「犬や猫を飼っている1000万人を超えるイタリア国民から、必ずや好感を持ってもらえるだろう。これによって穏健派が強力な政治勢力、つまり多数派となる」と述べたという。

 メディア王で大富豪のベルルスコーニ氏は、脱税で有罪となり議員資格を剥奪された後、収監の代わりに務める1年間の社会奉仕活動をどこで行うか、決定を待っている段階。動物福祉については、マザー・テレサ(Mother Teresa)の言葉も引用し「愛すべきように彼らを愛せば、われわれは神のすぐそばへと近づく」とも述べた。また、新しい飼い主を見つけることにより、ケンネルなどで年間2億6000万ユーロ(約370億円)が節約できるとも語った。

 しかしベルルスコーニ氏の提案に対し、動物愛護団体などの反応は鈍い。イタリア全土の野良犬、野良猫の総数を75万匹と推計しているイタリア動物環境保護協会(Associazione Italiana Difesa Animali & AmbienteAIDAA)は、ベルルスコーニ氏が考えている数は甘すぎると指摘している。(c)AFP