【2月17日 AFP】ソチ冬季五輪のアイスホッケーを観戦中、冷たいビールを一杯やれない米国人が不満を訴えるなか、多くのロシア人は騒がしいファンを黙らせるこの取り決めを喜ばしく思っている。

 サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)の男性は「ホッケーの試合会場でビールを売るのは危険だ」と話している。

「ファンが飲み過ぎると、トラブルや争いごとが起きる。これは安全上の問題で、最も大事なことだ」

 ロシアの法律で公共の場やスポーツ会場での飲酒は禁止されていることから、ソチ五輪でアイスホッケーの会場となっているボリショイ・アイス・ドーム(Bolshoi Ice Dome)とシャイバ・アリーナ(Shayba Arena)では、のどの渇きを訴えるファンにもビールは提供しない。

 火災報知器設置業の男性(25)によると、ロシア人はビール好きだという誤解があるようだと語っている。

「ビールを飲むと良くないことが起こる」

「感情的になる人もいれば、眠ってしまう人もいる。ロシア人はビール好きだと思われているが、私は水が好きだ。試合会場に来る前にビールを飲めばいい」

 生態学者の男性(25)は、その言葉通り「試合前にビールを飲んでから、試合後にウオツカを飲むのだ」という。

「勝っても負けても、試合後にはウオツカさ」

「泣きながら飲むときもあれば、祝い酒のときもあるよ」

 しかし、米国人の女性にとってビールのないアイスホッケーの試合会場は、シアトル(Seattle)の街角にスターバックス(Starbucks)がないようなものらしい。

「おかしいわ。昨晩の試合観戦中にビールを買おうとしたら『ない』なんて言うんですよ。アルコール中毒と勘違いされたくないけれど、ホッケーを見ながらビールを飲むのは最高だと思う」

 ロシア・マグニトゴルスク(Magnitogorsk)在住でダンスコーチの男性は、アルコール禁止の規則を撤廃してほしいという。

「アイスホッケーの試合会場でビールを売ってほしいよ」

 しかし、モスクワ(Moscow)在住の男性は、この規則があることで酔っ払ったロシア人が世界の目に触れないのだと自国の法律を擁護した。

「多くのカメラがあり人々の目に触れる場所で、酔っ払いをうろつかせないために規則があるんだ」

(c)AFP