【2月14日 AFP】ソチ冬季五輪開催地のロシア・ソチ(Sochi)はまるで春のような天候で、冬のスポーツより日光浴の方が向いている気温の中、選手たちはTシャツを着て体温の上昇を抑えている。大会運営者らは13日、この天候が五輪に悪影響を及ぼすことはないと表明した。

 天候が注視されていることを示すように、大会運営者は、最高のコンディションを確保するとして14日朝のアルペンスキー男子複合のスタート時間を1時間前倒しした。また同日のバイアスロンのトレーニングも、これまでに複数のコーナーで転倒を引き起こしたとされる暖かな気象状況を理由に、2時間前倒しされた。

「1992年以降全ての五輪に参加したが、こんな気温だったことはない」と、バイアスロン競技の技術関係者は語った。

 大会運営側は五輪に向けて昨シーズンから大量の雪を保管してあるが、ソチ五輪広報担当者は、これらの備蓄を使う必要性はまだないと述べている。

■Tシャツやノースリーブの選手

 選手と観客たちは13日、暖かな天候を満喫し、冬季五輪よりも夏の休暇を連想させる会場をサングラスとTシャツ姿で歩き回っていた。

 クロスカントリーのソフィー・コルドウェル(Sophie Caldwell、米国)選手とセイディー・ビョルンセン(Sadie Bjornsen、米国)選手は、女子10キロメートルクラシカルを走るには暑すぎると考え、肩と腕を出したままベストだけを着用して競技に出場した。

「コンディションはちょっとクレイジーよ。もう長い間、これほど暖かくて柔らかい(雪で)スキーしてない」と、コルドウェル選手は語った。

 スキー・スロープスタイルのボビー・ブラウン(Bobby Brown、米国)選手は、だぶついたTシャツ姿で出場、横回転や宙返りを披露し、暑い天気には最高に満足していると語った。「より快適になったと感じる。ジャケットを着る必要がないんだから。コロラド(Colorado)州の春はいつも暖かいから、(この天候は)最高さ。地元で滑っているような気分になる」

■アルペン会場は最高気温14度

 13日の気温はスタジアム会場のある海抜ゼロメートルで16度に上ったが、室内競技には影響は出ない見込み。一方、アルペン種目の会場の最高気温は14度、クロスカントリーとバイアスロンの会場はそれよりも少し低い温度だった。

「私はこの天候を気に入ってる」と、ロシア五輪委員会(Russian Olympic CommitteeROC)のアレクサンドル・ジューコフ(Alexander Zhukov)会長はロシアメディアに語り、天候問題を一蹴(いっしゅう)した。

「海沿いも気に入ってるし、山間部でもたくさんの白い雪があって太陽が輝いてるのも好きだ」「亜熱帯地方での五輪に対する多くの不安は、参加者らがソチを見たとたん消し飛んだ」

 国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)は、スケジュールに変更はなく、危機感を持つ理由もないと述べている。(c)AFP/Stuart WILLIAMS