【2月8日 AFP】米国では人工添加物や化学物質を大量に含んだ包装食品でも、ラベルに「ナチュラル(天然)」と表示して販売することができる。なぜならば、米国には「ナチュラル」の定義がないからだ。

 この曖昧(あいまい)な状況に対し、消費者団体などは大手食品メーカーを相手取り、食品表示が誤解を与えていたり不法だったりするとして、繰り返し訴訟を起こしてきた。

 米非営利団体(NPO)公益科学センター(Center for Science in the Public InterestCSPI)の弁護士、スティーブン・ガードナー(Stephen Gardner)氏は「『ナチュラル』訴訟は非常に多い」と語る。同氏は過去10年間で約50件の訴訟があったのではないかという。「それでも、こういった表示をしている多くの企業の氷山の一角に過ぎない。ことあるごとにそういった企業に遭遇する」

 食品表示訴訟のうち一部は、企業にラベル表示を改善させるためにCSPIが起こしたもので、企業側が表示変更を承知し、和解に至ることが多い。またCSPI以外にも、賠償を求める集団訴訟が起きている。

■人工着色料や合成保存料入りでも「ナチュラル」

 ごく最近では米食品大手クラフト・フーズ(Kraft Foods)の粉末ドリンク「クリスタルライト(Crystal Light)」の製品シリーズをめぐる問題があった。同製品には人工甘味料や人工着色料、添加物のマルトデキストリン、合成保存料のブチルヒドロキシアニソールが使われている。

 CSPIは1月、クラフト・フーズがクリスタルライトの「ナチュラル・レモネード」や「ナチュラル・レモンティー」などの製品に「ナチュラル」という単語を使い続けるようであれば、訴訟を起こす意図をクラフト側に通知した。

 ガードナー氏によれば現在も交渉が進行中だが、2007年に同氏がクラフトを相手取り初めて起こした同様の訴訟の経過を考えると、クラフト側は「ナチュラル」という単語について、風味を説明しているものだと反論する可能性が高いという。