【10月20日 AFP】イタリア・ミラノ(Milan)の高裁は19日、脱税で有罪判決を受けたシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)元首相(77)に、公職禁止2年の判決を言い渡した。

 この日、元首相は出廷しなかったが、弁護団は上告する姿勢を示した。1994年に政界入りして以来メディアの注目を集めてきた同元首相にとって、公職禁止は屈辱的だろう。

 刑の執行にはベルルスコーニ元首相が議席を持つ上院の承認が必要だが、昨年成立した刑事事件で禁錮2年を超える有罪判決を受けた議員の議員資格剥奪を定めた法律に従って、ベルルスコーニ氏の議員資格剥奪の審議はすでに始まっている。

 また、この法律によって、上院が投票で承認すれば、ベルルスコーニ元首相は6年間、国会議員選挙などに立候補することが禁じられる。ベルルスコーニ元首相の弁護団はこの法律について欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)に申し立てを行っている。

■別の2つの裁判でも有罪判決を受け上訴

 最高裁は8月1日にこの脱税事件でベルルスコーニ元首相の上告を退けていたが、公職禁止については別の法廷が1~3年の範囲で決定すべきだとして高裁に差し戻していた。検察側は公職禁止2年を求めていたが、弁護側は下限の同1年を求めていた。

 ベルルスコーニ元首相はこの脱税事件の裁判で禁錮4年の有罪判決を受けていたが、恩赦規則により禁錮1年に減刑され、さらに高齢のため収監されずに自宅軟禁あるいは社会奉仕活動を選択することが認められていた。元首相は、居住しているローマ(Rome)での社会奉仕活動を希望しているが、正式決定までにはあと2回の審理が必要で、これらの審理の日程は決まっていない。

 脱税事件の他にベルルスコーニ元首相は、首相在任中に17歳の未成年女性を相手に買春した上に職権を乱用した罪で禁錮7年、警察が秘密裏に盗聴した内容を、政敵を攻撃する目的で同元首相の家族が所有する新聞社に漏らした罪で禁錮1年の判決を受けており、いずれも上訴している。(c)AFP/ Dario THUBURN