【10月8日 AFP】ロシア政府は、治安当局者が選手や来場者の会話を盗聴することのできる無制限の監視システムを2014年ソチ冬季五輪の開催地に設置した。治安専門家が7日、述べた。

 第一線の治安専門家、アンドレイ・ソルダトフ(Andrei Soldatov)氏によると、この監視システムは「SORM」と呼ばれる旧ソ連情報機関の国家保安委員会(KGB)が1980年代に開発したもので、近年更新されて野党勢力などを盗聴するために使われていた。

 治安当局者はSORMを使い、14年2月のソチ冬季五輪期間中、通信事業者に察知されることなく全ての通話とインターネット通信にアクセスすることが可能になるという。通信事業者にはSORMの設置が義務付けられているが、「事業者はロシア連邦保安局(Federal Security ServiceFSB)がいつ何を監視しているか知ることができない」とソルダトフ氏は説明した。

 ソルダトフ氏はカナダのトロント大学(University of Toronto)の研究所シチズンラボ(Citizen Lab)と英国の慈善団体プライバシー・インターナショナル(Privacy International)との共同プロジェクトで調査を実施。ロシア政府の調達機関などの発行した資料を分析した結果、当局が冬季五輪開催地となる黒海(Black Sea)のリゾート地ソチ(Sochi)に数年前から監視装置の設営を続けていることが分かったという。

 研究チームは、「五輪史上最速の無線ネット接続が無料提供されると約束されている」ものの、露通信事業者ロステレコム(Rostelecom)の全てのモバイルネットワークにはFSBによる監視やフィルタリングを可能にするシステムが導入されていると指摘した。

 ソチの治安対策はキャリアの全てを外国情報員の追跡に費やしたオレグ・シロモロトフ(Oleg Syromolotov)FSB副局長が監督する。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO/Olga ROTENBERG