【シカゴ/米国 4日 AFP】米航空宇宙局(National Aeronautics and Space AdministrationNASA)の冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」がとらえた画期的な木星の画像が2日、公開された。木星のリング(環)内の小さな衛星や宇宙塵の様子、地球大きさのある宇宙嵐の映像などが、鮮明に映し出されている。

■木星の宇宙嵐形成初期映像としては過去最高

 ニュー・ホライズンズは、2月28日に、これまでの探査機では最短距離となる木星まで約225万キロの距離に接近し、美しい写真を多数撮影した。これらの写真が、木星の仕組みを解き明かす鍵となると期待される。

 撮影された鮮明な木星リングの画像には、予想されていなかった弧状の塵群や、環の内側を回る衛星メティス(Metis)とアドラステア(Adrastea)の様子が捉えられている。

 ニュー・ホライズンズの木星観測チームのリーダー、Jeff Moore氏は「木星の環の急速な進化が判明するかもしれない。そうすれば、数週間後、数か月後の環の変化も予測可能となる」と説明する。同様の現象は、土星の環でも観測されているという。

 木星上の2番目に大きな宇宙嵐、「小赤斑(Little Red Spot)」の詳細な写真も得られた。小赤斑の大きさは、地球の直径の70%程度で、過去10年ほどの間に、3つの宇宙嵐が統合して形成されたもの。ここ1年ほどで、赤みを帯びてきた。

 ニュー・ホライズンズを製作し運用を担当するジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory、APL)のHal Weaver氏は、木星における宇宙嵐の形成初期映像としては過去最高のものと話す。

 同氏は、「ニュー・ホライズンズがとらえた木星接近時の映像を、地上および地球軌道上からの観測データと照合すれば、木星のような大型惑星における気候力学について、驚くべき知見が得られるだろう」と期待を示す。

■冥王星到達を期待されるニュー・ホライズンズ

 ピアノほどの大きさの無人探査機ニュー・ホライズンズは、観測用カメラ7台とセンサーを搭載している。

 太陽系最大の惑星である木星の重力を利用して軌道を調整する「スイングバイ」を行うことで、冥王星までの到達期間を3年短縮できるという探査機だ。冥王星到達は、2015年7月頃の予定とされている。

 また、ニュー・ホライズンズは、過去数週間で700回もの観測を行ってきた。観測データ34ギガビットの約70%は、10億キロも離れたNASAのアンテナに送信済みだ。NASAはニュー・ホライズンズと運用チームの「負荷試験」は成功裏に終わったと述べている。
 
 写真は、ニュー・ホライズンが撮影した木星上の宇宙嵐 。(2007年5月2日発表)(c)AFP/NASA