【2月8日 senken h】昨年10月、中国・北京市において第7回「旭化成・中国ファッションデザイナークリエイティブ大賞」(旭化成中国大賞)の授賞式およびファッションショーが行われた。市場の成長とともに、ファッションへの関心も高まっている中国。旭化成は「ベンベルグ」の訴求を通して中国での存在感を高めつつある。

 旭化成中国大賞は、中国のファッションの高級化、トップデザイナーの育成を目指す目的で07年11月にスタートした。業界で活躍しているファッションデザイナーの中国トップ10から選考するハイレベルなデザイナーコンテストで、年2回、中国インターナショナルファッションウィーク(北京コレクション)の期間中に開催される。

 第7回の受賞者は、武学偉(ウー シュエウェイ)、武学凱(ウー シュエカイ)兄弟。両氏ともに中国ファッションデザイナーの最高栄誉賞である「金頂賞」の受賞経験を持ち、弟の武学凱氏は北京オリンピックセレモニー用ドレスのデザインで一等賞を獲得するなど、幅広いフィールドで活躍している。「一起美丽」 (一緒に美しくなる)と題した「2011年春夏ベンベルグコレクション」は、それぞれがトップデザイナーとして中国内外で活躍している武兄弟が初めて共同でコレクションを発表するとあって、会場の外まで人があふれるなど、大変な熱気に包まれた。

 11年3月には第8回受賞者の李小燕氏による「2011/12秋冬ベンベルグコレクション」の発表が予定されている。

■インタビュー/さまざまな美を一つの作品に落とし込む

 これまでもデザイナーとしてそれぞれ、国内の栄誉ある賞をいくつも受賞してきた。北京に2人の工作室を構えているが、一緒に一つの作品を作りあげたのは今回が初めてという。

―初めて兄弟で作品を手がけた。
学凱:旭化成中国大賞は中国のデザイナーたちに広く認知されており、私たちも重要視していた。私たちの作品を通じて、他のデザイナーたちの意欲も喚起できればと思う。今回のコレクションのテーマ「一起美丽」(一緒に美しくなる)は、二人で話し合って決めたもの。旭化成は環境や人類の未来に関わる事業を行っているので、私たちもショーの瞬間の美しさだけでなく人類のこれからの美しい生存と発展を表現したかった。純粋で美しいものの象徴として、子供たちに描いてもらった絵の世界を、作品に落とし込んだ。

学偉:エコロジーも重視した。今回に限らず今後も、環境にやさしい素材を使っていきたい。弟とは、意見の食い違いで衝突することもあったが、話し合うことでより良いものができたし、エキサイティングだった。今後も、二人で協力して作品を作っていきたい。

―旭化成の素材「ベンベルグ」を使った感想は。
学偉:以前にも、旭化成の素材を使ったことがある。「ベンベルグ」と聞くと裏地のイメージがあったが、実は表に使うファッション性の高い生地もたくさんある。柔らかく、すべりがよく、ドレープ性があるといった特性を生かしつつ、作品ごとに色や模様を少しずつ変えてチャンレンジした。

―中国のデザイナービジネスの現状は。
学凱:中国の消費者のニーズの多様化につれて、個性あふれるデザイナーたちが活躍する場が広がっている。デザイナーブランドを買える店も増えている。

学偉:昔は、欧州のバイヤーたちは生産工場を探しに中国を訪れていたが、今はデザイナーを探すようになった。中国のアパレルは安さばかりが注目されがちだったが、高品質、高感度のブランドもたくさんあることをもっと知ってほしい。(c) senken h

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